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お役立ち情報
2024年10月10日
インドネシア農業省、北海道の農業・畜産現場を訪問・視察。
~農業分野における特定技能・外国人材のさらなる活躍へ~
PERSOL Global Workforce株式会社とインドネシアの農業省(Ministry of Agriculture)傘下にある農業教育センター (Indonesian Centre for Agricultural Education、ICAE)は2023年1月にMOU(基本合意書)を締結し、農業人材の育成および就業に向けたプロジェクトを開始しました。先日2024年8月末に、インドネシアの農業省在籍で、在日インドネシア共和国大使館のムハマド・ムハラム(アンディ)ヒダヤト農業部長(以下、アンディさん)が、北海道を訪問し、日本の農業・畜産業界に関する理解を深めるとともに農業・畜産の現場で活躍している人材の様子を視察しました。
北海道千歳市「苦楽園 亀田牧場」へ訪問 ~日本の畜産分野の理解を深める~

北海道千歳市 「苦楽園 亀田牧場」
初めに訪問した施設は、千歳市の「苦楽園 亀田牧場」です。同牧場は、300ヘクタールほどの農地に牧草やデントコーンなどを栽培し、乳牛550頭(うち搾乳牛約300頭)、肉牛250頭ほどを飼養する、道内でも屈指の牧場です。この日は、サツラク農協からもご参加いただきました。

ミルキングパーラーについて説明を受けている様子
一行は、牧場の牛舎、ミルキングパーラー、堆肥の生産を見学しました。アンディさんは時々ご自身のスマートフォンで撮影をしたり、質問をするなど積極的に話を聞きたり、日本における畜産業界に関する理解が深まった様子でした。また、視察の途中からは2023年12月から本取り組みを通じて同牧場ではたらいているアウリア アリファーさんも合流し、ご自身の仕事のことや牧場施設について一緒に説明していただきました。

左から、インドネシア共和国大使館のアンディさん、亀田牧場代表の亀田さん、アウリアさん
【ミニインタビュー①】 苦楽園 亀田牧場 代表 亀田さん
―今回外国人材を受け入れることになったきっかけを教えてください。
日本人の採用は日々厳しくなっています。日本人だけの採用をこだわり続けると、十分な人材の確保が難しく、たとえば急な欠員がでたとき、新しい人を採用するまでかなりの時間がかかってしまいます。また、当社は自社以外にも近隣の収穫作業や堆肥作業など手広く事業をしていることもあり、何かが起きた時に、人員不足の影響で素早く対応することができなくなることは避けたいと思っていました。特に搾乳の場合、しっかり人員を確保する必要があり、こうした事業への影響を踏まえ外国人材を受け入れることを決めました。
―ちなみに今回のアウリアさんが初めての外国人材採用でしょうか?採用までに気になっていたことや悩みはありましたでしょうか?またその内容も教えてください。
以前ベトナムの方を2名採用したことがあり、外国人の受け入れが初めてではないですが、インドネシアの方はアウリアさんが初めての採用です。今回PERSOL Global Workforceの担当の方からインドネシア農業省との取り組みについて、概要の説明、国(インドネシア)の特徴、人材の教育について説明いただいていたので、受け入れにおいて特に違和感や大変だったことはありません。
―アウリアさんには現在どんな仕事を担当していますか?また働きぶりや日本語力はいかがですか?
アウリアさんには現在牛の搾乳などの仕事を担当してもらっていて、毎日とても熱心にはたらいています。日本語はこれから色々な仕事をしていくためにも、もっと覚えてもらいたいと思っています。言葉は勉強だけではなく、日々たくさん使うことでより習得できると思いますので、周りの職員とも積極的に話してもらって身につけてほしいです。
―今後も外国人材を採用したいと思いますか?またその理由も教えてください。
9月中旬からPERSOL Global Workforceを通じてインドネシア人材1名を追加で受け入れました。ひとまず2名の外国人材と既存の従業員で人員の確保は十分かと思いますが、今後の欠員状況や業務量などを踏まえてまた検討したいと思います。
【ミニインタビュー②】 苦楽園 亀田牧場 アウリアさん
―海外(日本)ではたらこうと思った理由を教えてください。また、はたらいてみてギャップを感じたことはありますか?
私はインドネシアの農業系専門学校を卒業しました。畜産を専攻していましたが、もっと実践的な畜産の知識や経験を身につけたくて日本ではたらきたいと思いました。学校で勉強していたので関連した知識や仕事については理解できましたが、まだまだ実務経験は足りていません。社員のみなさんが優しく教えていただいているので仕事においてのギャップや大変さはありません。一方で、インドネシアと北海道の気候が全く違うのでびっくりしました。でもインドネシアでは雪や桜を見たことがなかったので、実際見たときはとっても感動しました。(※アウリアさんは2023年12月に入社しました)
―アウリアさんが担当している業務について教えてください。
私は牛の搾乳と、寝床の清掃作業を主に担当しています。
―日本の生活で困っていることはありませんか?
ムスリムなので、豚肉やお酒が入ったものなどは食べることができません。ムスリムが食べてはいけない材料が入っていないハラルフードがなかなか手に入らないので大変です。
あとは、日本語がまだまだ上手ではないので、もっと勉強しないといけないと思っています。
―今後の目標についてお聞かせください。
実は、日本ではたらきながら新しいことを経験したことで、将来インドネシアで牧場をやりたいという夢ができました。まずは特定技能1号の5年間しっかり日本ではたらきたいです。
■「JAふらの」の施設を視察~生産・販売・加工の現場を視察~
一行は、午前中の亀田牧場視察後、富良野市に移動し、JAふらのの選果施設(人参・スイカ)、ポテトチップスの加工工場を視察しました。JAふらのはすでに40名の外国人材を受け入れており多くの外国人材が活躍しています。また、PERSOL Global Workforceとインドネシア農業省の取り組みを通じては、すでに4名が入社し、人参の選果施設ではたらいています。

人参の選別作業の視察
アンディさんは、各出荷・選別施設や加工・製造工場を回りながら、時にはインドネシア人材へ声をかけ、作業や仕事に関して質問、人材からの話をしっかり聞いていました。アンディさんは、JAふらのが廃棄を極限までに減らすための効率的な選果工程を行っていること、また、機械化と人による作業をバランスよく絡めての運用は、インドネシアと大きく異なる点だと、非常に高い興味を示しました。

人参の選果上で作業中の外国人材
【ミニインタビュー③】JAふらの 及川さん
―外国人材を採用しようと思った理由、きっかけを教えてください
農業における人材不足、高齢化を解消するために、外国人材は以前から採用していました。2013年ごろから技能実習制度を利用し、主に中国の方を受け入れていましたが、徐々に中国の方も高齢化していくなど、採用が難しくなってきました。外国人材の採用に関して悩んでいたタイミングで新しい在留資格「特定技能」ができたので、2021年からは特定技能の外国人材を採用・受け入れるようになりました。
―外国人材は今後も引き続き受け入れたいと思いますか?その理由も教えてください。
はい。もちろん日本人の採用や派遣スタッフの活用も続けていますが、やはり高齢化や人件費の高騰でなかなか難しいことが現状です。そのため、今回のように専門学校を卒業し、農業分野に興味・やる気のある20~30代の外国人材の受け入れができる機会があればぜひ続けたいです。
―この度、PERSOL Global Workforceを通じて4名を追加採用することになった理由を教えていただけますでしょうか?
昨年PERSOL Global Workforce社を通じて派遣で受け入れた人材が、しっかり働いていただき、トラブルなく就業期間を終えることができたためです※。今年も継続して外国人材の派遣サービスを利用しようと思いました。
※2023年8月~2023年11月に7名を派遣

左から、JAふらの遠山さん、インドネシア共和国大使館のアンディさん、JAふらの及川さん
【ミニインタビュー④】在日インドネシア共和国大使館のムハマド・ムハラム(アンディ)ヒダヤト農業部長
―インドネシア政府の農業の目標・ミッションについて改めて教えてください。
インドネシア農業省は、「2045年に世界の食糧庫になる」というビジョンを掲げています。インドネシアは国土の約4 分の1が農地で、2019年時点では国内の労働人口の約29% が農業・畜産に従事しています。また、今回の取り組みの対象校も含まれておりますが、農業系の公立(専門)学校が7校と職業訓練校が3校存在しており年間1,500名の農業・畜産などに知識・スキルのある人材を輩出しています。
一方で、若い人材にこの分野における多様な経験・高い技術力に触れる場を提供し、成長を支援しなければいけないという課題感がありました。そこでインドネシア農業省は高い品質と技術力を誇る日本の農業分野へ人材を送り出し、彼らが活躍し成長できる機会を提供したいと思っています。
―インドネシアの国民がはたらく国として、日本はどんな魅力がありますか?
日本はとても治安が良く、安全な国です。また、地域や季節によって気候や特徴が異なるため、さまざまな作物が生産されており、世界的にも質の高いお米、果物、野菜が有名です。畜産においてもいわゆる伝統的な設備や運営方式にとどまらず、機械化されている点や、そこからの加工品などにも特徴を持っています。今回、北海道の農業・畜産分野の訪問は、インドネシアの人材と会えたのはとても貴重な機会であり、私自身もたくさんの気づきを得ることができました。
PERSOL Global Workforceとインドネシア農業省との取り組みを通じて、現在日本の就業が決まった方は、173名(2024年9月現在)、うち76名は日本各地の農業・畜産現場で活躍しており、労働力不足で悩んでいた事業者のみなさまの戦力となっています。引き続き、現地インドネシア各地の農業系学校に在学・卒業したインドネシア人材が、本取り組みを通じて日本ではたらくために、特定技能の在留資格を取得を目指し、日々資格試験、日本語の学習に励んでいます。
PERSOL Global Workforceはこれからの人材不足で悩む日本の農業・畜産現場の課題を解消し、インドネシア人材が活躍する場を提供することで、両国がWin‐Winできる取り組みを続けてまいります。
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