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お役立ち情報
2025年1月15日
数百名の利用者さまの食事を担当する施設の調理場。外国人材に、難しい言葉を分かりやすく伝えるために工夫しました。
~社会福祉法人豊生会 特定技能・外食編(施設内の調理場・厨房勤務)~

鹿児島県 社会福祉法人豊生会 日当山春光園の前で
前回の記事に引き続き、鹿児島県の社会福祉法人豊生会の外国人材受け入れ事例についてお話を聞きました。今回は特定技能「外食」の在留資格を持ったミャンマー出身の3名の外国人材の事例です。介護・福祉施設で介護ではなく外食の在留資格で外国人材を採用できるの?と思った方もいるかもしれません。実は、介護・福祉施設では、ご利用者・ご入居者のための「食事」を準備する調理部門を持っている法人も多く、厨房で調理するスタッフとして特定技能・外食の在留資格を活用することが可能です。
「きれいな料理だね」と利用者さまに言っていただけると嬉しくなります。

メイさん、ムさん、モさん
――自己紹介をお願いします。
メイさん:こんにちは!ミャンマーから来ました。日当山春光園の厨房ではたらいています。
ムさん:こんにちは。みゆき園の厨房ではたらいています。ミャンマーから来ました。
モさん:こんにちは。ミャンマーから来ました。モと呼んでください。いまも日本語の勉強を続けています。
――いま厨房ではたらいていますよね?どんなお仕事をしていますか?
メイさん:(食事の)盛り付けを担当しています。
ムさん:同じです。盛り付けをしています。
モさん:私もです。
――いつから日本ではたらき始めましたか?
みなさん:今年の6月からです。
――仕事で嬉しいこと、楽しいことは何ですか?
メイさん:この仕事は私の趣味ですから、料理を作ったり、準備をするのは楽しいです。
ムさん:盛り付けにもいろいろあって面白いです。
モさん:盛り付けの仕事はとても楽しいです。あと、先輩たちが暖かくてうれしかったです。
――仕事で大変なことはありますか?
全員:ありません!みんなさんやさしいし、嬉しいです!

――そうなんですね。例えば仕事だけでなく、普段の生活の中で、こういうのは大変だ、思ったより難しいなと思ったことはなかったですか?
モさん:あ…先輩たちの日本語が早くて困ったことはあります。でもいまは先輩たちは少しずつ話してくれるので大丈夫です。
――(先輩たちの日本語が)早かったですか?
全員:はい…!
ムさん:でもいまはゆっくり話してくれるので大丈夫です。あとは、生活に困ったことは少しあります。駅も少し遠いので、どこにも行けないというか自転車で買い物だけなのでちょっと寂しいこともあります。
――イベントやお祭りに行ったこともないですか?
全員:花火大会に行ったことがあります。楽しかったです!
ムさん:少し遠いところで、みんなで自転車で行って公園に自転車を止めて歩いていきました。
――日本人と一緒にはたらくのは初めてですよね?日本人の先輩と一緒にはたらいてどうですか?うれしいこと大変だったことありましたか?
モさん:先輩たちは本当に優しくて温かいです。ゆっくり教えてくれるので勉強になります。
ムさん:私も同じです。先輩たち全員優しいので、私ができないことをしっかり準備して教えてくれます。
メイさん:優しい先輩たちとはたらくことは楽しいです。わからないところをしっかり教えてくれるので安心です。

――日本(海外)ではたらこうと思った理由を教えてください。
メイさん:一番は家族のためです。そして日本ではたらいた経験を持って帰って、私の夢を叶えたいです。
ムさん:最初は外国語を覚えたいと思っていたので、日本語を勉強しました。日本語を続けて勉強していうるうちに日本に行きたいと思ったので、日本での仕事を探しました。
モさん:ミャンマーより給与が高い日本ではたらいて、家族を支えたいと思ったからです。あとは日本の食を学びたいと思いました。
――ちなみになぜ「調理」の仕事をしたいと思いましたか?以前はどんな仕事の経験がありますか?
ムさん:私の夢は2つあります。1つは旅行することです。いろんなところを旅行したいです。2つ目は、料理を作ることです。料理を仕事にして、休みの日はいろんなところに行きたいと思ったので、この仕事を選びました。ミャンマーでは、2~3年ほど印刷工場ではたらいていました。調理の仕事は初めてです。
メイさん:私の趣味は料理を作ることです。もともと料理をすることが好きだったので、得意です。ミャンマーの料理ならたくさん作れます。日本の料理は、いま肉じゃがと野菜サラダが作れます。ミャンマーでは、大学を卒業したあと、ミャンマーのレストランで2年くらいはたらいていました。
モさん:盛り付けの仕事が大好きです。盛り付けして料理がきれいになった!と思うと嬉しくなります。おじいちゃん、おばあちゃんが見て、「きれいな料理だね。」と言ってくれると嬉しいです。私はミャンマーでは仕事経験はないです。大学卒業して、日本に仕事をしにきました。

――特定技能に合格するためにどれくらい勉強しましたか?
モさん:特定技能は6か月くらい勉強しました。日本語は2年間勉強しました。
ムさん:私は2年以上勉強しました。(日本語能力試験)N3に向けて勉強しました。
メイさん:私もムさんと同じです。はたらきながら、2年以上勉強しました。
――日本語の勉強はどれくらいしましたか?いまもしていますか?
全員:N3を目指していまも勉強しています。12月も受けようと思っています。
――これからどれくらい日本ではたらきたいですか?
モさん:できるだけ長くはたらきたいです。10年以上はたらきたいです。
ムさん:私も10年以上はたらきたいです。
メイさん:私は10年だけはたらきたいです。そのあとは、ミャンマーに帰りたいです。日本の経験を生かして、日本とミャンマーの料理のレストランを開きたいです。
――これからの夢や目標を教えてください。
メイさん:ミャンマーで自分のレストランを開くことです。
モさん:自分のスキルを高めて、もっと役に立つ人になりたいです。
ムさん:旅行することです。いま一番行きたいところは大阪です。おいしい料理がいっぱいあるところですから、料理もいっぱい食べて、遊びたいです。
彼女たちの頑張りに、こちらもしっかり指導して応えたいと思います。

日当山春光園の栄養士、隈﨑さん
――よろしくお願いいたします。
栄養士の隈﨑です。日当山春光園(社会福祉法人豊生会の介護施設)の厨房ではたらいています。
――みなさん(外国人材)の仕事はいかがでしょうか?
日本人の方が入るのとは違うので、最初は少し不安に思っていたのは事実です。はたらき初めて間もない時は、わからない時も「わかります。」と答えることもありました。ただ、時間が経ってみんなが仕事や職場の雰囲気に慣れてきたこと、また我々も(彼女たちがわかりやすい)指示出しができるようになりました。最近はわからないところはちゃんと質問もできるようになりましたし、栄養士の立場から見てもとても助かっています。
盛り付けメインですが、利用者さまにご飯をお届けするときに、食欲がわくように、気分が晴れるような盛り付けをしてくださっているのでとても助かっています。
――外国人材の日本語力はいかがでしょうか?
私たちが普段話すスピードだとわからない時がありますので、ゆっくり話すようにしています。また、内容をかみ砕いて話しています。(厨房での)作業中はいつも忙しいので、どうしても早口になってしまうところがありますが、わかりやすく伝えるために皆さん意識しています。
――最初の受け入れで指導の仕方や悩まれたところあると思いますが、どんな工夫をされましたでしょうか?
厨房で使うものや説明は漢字が多いので、できるだけやさしい日本語(言葉)を使うこと、また漢字によみがなをつけるなどの工夫をしました。わからないことがあった時には遠慮せず質問をしてもらいたいので、質問することは大事なことであると伝えると当時に、私を含めて厨房ではたらく日本人全員にもそのこと(外国人材から質問がある可能性、やさしい言葉で説明すること)を伝えて、質問にしっかり答えるように心かけています。

――日本人職員のみなさんとの関係性や信頼関係はいかがでしょうか?
外国人材のみなさん、こちらで指導することに対してしっかり聞いてくれて行動をとってくれていました。最初はたぶんぎこちない部分もあったと思いますが、いまは休憩時間に昼食をとるときに、ミャンマーの話をしてくれるなど、どんどん打ち解けてきたので、最初と比べていまは厨房から笑い声が聞こえるようになったり、人と人とのつながりはどんどんいい方向に向けてきていると思います。厨房の仕事は集中すると本当に黙々と集中して仕事をしてしまうのですが、いまは本当に明るくなって、笑い声も聞こえるようになりましたね。
――じゃ、いまはざっくばらんに日常会話ができるようになってきているんですね。
本人たちもいまは自分たちから話しかけてくることも多いですし、個人的には、日本に来て、日本語でみんなとコミュニケーションとりながら笑いあえることは本当に尊敬しています。
――受け入れで大変だったことはありますか?
大変と思ったことは、ご本人たちはかなり頑張ってくれたので、外国人材というよりも、こちら(日本人の先輩スタッフのみなさん)が厨房で普段使うマニュアルにふりがなを振って準備したり、もしわからない漢字や言葉について質問を受けた時にどう説明してあげるのが良いか(どう平易な言葉で伝えるか)を工夫することが大変でした。(区別ができるように)色付けをするなどのこともしました。のちに本人たちもわからない言葉や漢字が出た時にメモを取ったり、勉強をしてくれたりしたのでとても助かりました。
なので、大変なところは、どう仕事内容や流れをどう理解してもらうかですかね。ゆっくり確認しながら進めました。御膳に食札を並べますが、いま自分たちで進んでやってくれるようになりましたので、とても助かっています。
――受け入れてみてのギャップはありましたでしょうか?
来日する前にZoomでお会いした時に、本当に若い子たちがいて(笑)、期待をしつつ不安もありました。いざ来てみれば3人とも本当にいい子たちでしたし、自分の決まった仕事以外も、周りに気を配って配慮するようになったので、本当にみんな「来てくれてよかった、助かった」と思っています。日本に、日本語を勉強して、仕事をしに来てくれているので、その頑張りに応える形で私たちも頑張って指導したいと思っています。
――今後もっとこういうことを頑張ってほしいというところはありますか?
いま本当に十分頑張ってくれているので、これ以上にどうということはないです!(笑)
まだ来てくれて3カ月ちょっとなので、今後どんどん仕事していく中で成長するんだろうなと思っていますし期待しているので、今後例えば、「これはどうしたらいいですか?」と聞くことなくても、自分で考えて行動できるところまで行くのであれば、立派な厨房職員になれると思います。一人前になるための道半ばでありますが、いまは本当に十分なくらいです。
※本記事は、2024年10月の情報をもとに作成した記事です。